この回路は工業用制御出力モジュールの完全なソリューションを提供します。これは、標準の4mA-20mA電流出力とユニポーラまたはバイポーラの出力電圧範囲を必要とする、プロセス制御におけるプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)と分散制御システム(DCS)に適した設計となっています。16ビットDACのAD5422は、必要とするあらゆる出力をソフトウェアで構成することが可能で、工業用環境で有用な多くの診断機能を内蔵しています。ADuM1401はマイクロコントローラとDAC間におけるすべての信号の絶縁を提供します。また、この回路は標準的な外部保護回路を含んでおり、IEC61000仕様に完全に準拠したテストと検証が行われています。
工業用制御モジュールでの、標準的なアナログ電圧出力と電流範囲は、±5V、±10V、0V~5V、0V~10Vと4mA-20mA、0mA-20mAです。AD5422は、高精度の全機能内蔵の16ビットD/Aコンバータで、工業用プロセス・コントロール・アプリケーションの要求にミートするように設計された、プログラマブル電流源出力とプログラマブル電圧出力を提供します。
出力の電流範囲は、図1に示したように4mA-20mA、0mA-20mAあるいは0mA-24mAの全体に渡る範囲のいずれかにプログラムすることができます。電圧出力は、別のピンによって提供され、0~5 V、0~10 V、±5 V、あるいは±10Vの出力範囲の構成が可能となっています。すべての電圧範囲では10%のオーバーレンジが可能となっています。アナログ出力は短絡とオープン回路から保護され、1µFの容量負荷と1Hのインダクタ負荷をドライブすることが可能となっています。
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図1.16ビット工業用制御出力モジュール回路、診断機能、出力保護回路付
(この回路図は一部簡略化されている部分があります) |
デフォルトでは、AD5422のDVCCピンは2.7V~5.5Vの電源電圧を許容します。 一方DVCC SELECTピンに内部用4.5V電源をつないで、DVCCピンをシステム内の他のデバイスとのデジタル電源として、またはプルアップ抵抗用の終端として使うことができます。このときのモードでは、DVCCから可能な最大電流は5mAとなります。ここでの設計では、DVCC出力は、デジタル・アイソレータADuM1401のフィールド側の電源として使われています。
ADuM1401は、アナログ・デバイセズのiCoupler®技術に基づく、4チャンネルのデジタル・アイソレータです。これは、AD5422とシステム側のマイクロコントローラ間を、2.5kVrmsの絶縁定格で、絶縁するために使われています。4本の線全てがAD5422に標準SPIインターフェースとして使われています。3本の伝送(LATCH、SCLK、SDIN)ラインと1本の受信(SDO)ラインです。
AD5422は10ppm/℃のリファレンスを内蔵しています。温度範囲全域にわたる高性能のために、ここでの設計では外部に5VリファレンスのADR445を使っています。この製品は0.04%の最大精度誤差と3ppm/℃の最大温度ドリフトを備えています。このドリフトを含めた場合工業用温度範囲にわたる誤差は約0.02%になります。
図2では、外部リファレンスADR445を使った場合のAD5422の出力誤差プロットを示しています。このデータは標準の0V~10V出力範囲にわたる電圧誤差をFSR(フルスケール範囲)の%で表わしています。
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図2.0V~10V出力範囲のINL精度のプロット曲線
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この設計では、外部保護(標準的な保護ダイオードやTVS素子など)を含んでおり、表1に示したIEC61000規格でのテストを満たしました。 外部保護の技法についてのより詳細な検討については、Colm Slattery, Derrick Hartmann, Li Ke著「PLC Evaluation Board Simplifies Design of Industrial Process Control Systems」Analog Dialogue Vol.43 No.04、2009月4月号を参照してください。
表1. IEC仕様の結果
| テスト事項 | 説明 | 結果 |
| EN & IEC 61000-4-2 | 静電放電 (ESD) ±4 kV VCD | CH3での最大偏差 0.32% クラス B |
| 静電放電 (ESD) ±8 kV HCD | CH3での最大偏差 0.28% クラス B | |
| EN & IEC 61000-4-3 | 放射耐性 80MHz~1GHz 10V/m 垂直アンテナ両極 |
CH1での最大偏差 0.09%、CH3で0.30%クラス B |
| 放射耐性 80MHz~1GHz 10V/m 水平アンテナ両極 |
CH1での最大偏差 –0.04%、CH3で0.22% クラス B | |
| 放射耐性 1.4 GHz~2 GHz 3 V/m 垂直アンテナ両極 |
CH1での最大偏差 0.01%、CH3で -0.09% クラス B | |
| 放射耐性 1.4 GHz~2 GHz 3 V/m 水平アンテナ両極 |
CH1での最大偏差 0.01%、CH3で 0.09% クラス B | |
| EN & IEC 61000-4-4 | 電気的高速トランジエント(EFT) ±2kV パワーポート |
CH3での最大偏差 –0.12% クラス B |
| 電気的高速トランジエント(EFT) ±1 kV 信号ポート |
CH3での最大偏差 –0.02% クラス A | |
| EN & IEC 61000-4-5 | 電力線サージ、±0.5kV | ボードと部品でのダメージ無し、クラス Bをパス |
| EN & IEC 61000-4-6 | パワー・コードでの導通耐性テスト 10V/m 5分間 |
CH3での最大偏差 0.09% クラス B |
| I/Oケーブルでの導通耐性テスト 10V/m 5分間 |
CH3での最大偏差 –0.93% クラス B | |
| EN & IEC 61000-4-8 | 磁気耐性、水平アンテナ両極 | CH3での最大偏差 –0.01% クラス A |
| 磁気耐性、垂直アンテナ両極 | CH3での最大偏差 –0.02% クラス A |