差動動作では、VIN+とVIN-を180度位相がずれている2つの等しい信号で同時に駆動する必要があります。すべてのアプリケーションにおいては差動動作用に信号を予めコンデショニングしていないため、シングルエンドから差動への変換が必要になることがあります。AD7357を差動駆動する最適な方法は、AD8138のような差動アンプを使う方法です。このデバイスは、シングルエンド-差動変換アンプまたは差動―差動アンプとして使うことができます。AD8138はまた、コモンモード・レベルのシフトも提供します。図1に、AD8138をシングルエンド―差動変換アンプとして使用する方法を示します。AD8138の正側出力と負側出力は、ADC上のフロントエンドにあるスイッチド・キャパシタンスの影響を最小限にするために直列抵抗のペアー(Rs)を介してそれぞれのADC入力に接続されます。AD8138のアーキテクチャにより、それほど精密にマッチする外付け部品は不要で、広い周波数範囲にわたって非常に高いバランスのとれた出力が得られます。
使用するアナログ入力ソースがゼロ・インピーダンスを持つ場合、4個のすべての抵抗(RG1、RG2、RF1、RF2)は同じである必要があります。たとえば、ソースが50Ωのインピーダンスと50Ωの終端を持つ場合、入力でのパラレル・インピーダンスをバランスさせて、正側アナログ入力と負側アナログ入力が同じゲインを持つようにするために、RG2の値を25Ωだけ大きくする必要があります。アンプからの2つの出力は完全に一致して、同じ振幅と正確に位相が180°ずれたバランスした差動出力が得られます。
AD7357は、シリアル・インターフェースを使って4.2MSPSのスループットを達成するために非常に短いアクイジション時間となっているので、非常に高速のセトリング時間を備えたドライバーを必要とします。AD7357のフロントエンドのトラック/ホールド・アンプは、変換期間中SCLKの16番目の立ち上がりエッジでトラック・モードに入ります。ADCのドライバーは、トラック/ホールドがホールドに戻る前に(80MHzSCLKを用いたAD7357が4.2MSPSのスループットの場合は39ns後に)セトリングする必要があります。AD8138は、この要求事項を満足させる、セトリング時間16nsの仕様を備えています。
AD8138のVOCMピンに電圧を加えてコモン・モード電圧を設定します。図1では、VOCMは、AD7357の内部リファレンスをデバイドして作られた1.024Vに接続されています。もしAD7357のオンチップ2.048Vリファレンスがシステム内のどこか別のところでも使われる場合は、(図1に描かれているように)REFAまたはREFBからの出力は最初にバッファする必要があります。OP177は、現在入手可能なオペアンプでは、最高の精度性能を備えており、リファレンス・バッファとして完璧な選択肢といえます。