未発表論文から

皮膚インピーダンスの解析を利用した能動/受動的な経皮送達

Liam Riordan
(コメントは英語でお願いします。)  


薬物送達は、医薬品業界で最も成長の著しい分野の1つであり、業界のリーディング企業は注射に代わるものを積極的に開発しています。経口、局所外用、経肺(吸入タイプ)、ナノテク対応、経皮など、さまざまな薬物送達システムについて現在研究が進められています。経皮送達方法は患者の皮膚を通して薬物を非侵襲的に送達する方法であり、能動的な浸透もしくは受動的な吸収のいずれかの方法で皮膚の保護バリアを通過します。

経皮パッチ(貼り剤)方法は、受動的な薬物送達の最も一般的な方法の1つです。経皮パッチを患者の皮膚に貼付することによって、一定の時間に一定量の薬剤を不快感を伴わずに安全に送達することができます。薬剤は皮膚を通して血流に吸収されます。ニコチン・パッチはこの代表的な例ですが、ほかにも乗り物酔い、ホルモン補充療法、バース・コントロールなどにもよく利用されています。受動送達には2つの大きな欠点があります。薬剤吸収の速度が皮膚インピーダンスに依存していること、そして妥当な速度で皮膚の保護バリアを通過し患部に拡散することができる薬剤の数が限られていることです。そのため、経皮薬物送達の能動的方法の開発が活発に行われてきました。能動的な方法には、薬物拡散の速度を上げるために超音波エネルギーを使用する方法、角質層(表皮の外側の層)を通るマイクロチャンネルを作成するためにRFエネルギーを使用する方法、イオントフォレーシス(イオン浸透療法)などがあります。

図1. イオントフォレーシス

図1. イオントフォレーシス

イオントフォレーシスでは、電荷を使って薬剤を皮膚から血流へと能動的に送達します。装置は、帯電した薬物分子を含む2つのチャンバで構成されています。正電荷を帯びたアノードが正電荷を帯びた薬物を退け、負電荷を帯びたカソードが負電荷を帯びた薬物を退けます。2つのチャンバ間で発生する電磁界によって、薬物が一定の仕方で皮膚を通って内部に送達されます。

皮膚インピーダンスは、経皮送達における重要な変数です。年齢、人種、体重、活動レベルなどのファクタに左右される複素インピーダンスは周波数に依存し、モデル化するのは容易ではありません。皮膚インピーダンスの動的な測定によって、最適な薬物送達のための高精度の実用的ソリューションが得られます。

インピーダンス・スペクトロスコピー法は、抵抗、コンデンサ、インダクタのインピーダンスが周波数に応じて異なった変化をするという現象を利用し、人間の皮膚などの複雑なインピーダンスを正確に解析するために使用されます。周波数が増大すると、抵抗のインピーダンスは一定ですが、コンデンサのインピーダンスは低下し、インダクタのインピーダンスは増大します。既知のAC波形でテスト・インピーダンスを励起すれば、未知のインピーダンスの抵抗成分、誘導成分、容量成分を求めることができます。 ダイレクト・デジタル・シンセサイザ(DDS)は柔軟な位相周波数、振幅、スイープ機能、プログラマビリティを備えているため、未知のインピーダンスを励起するのに最適です。装置に組み込まれたデジタル処理と高度の周波数制御により、合成アナログ/デジタル周波数ステップ波形を生成します。図2は、単純なインピーダンス・アナライザのブロック図です。フル機能搭載の低消費電力75-MHz DDSの AD9834で生成したAC波形に対して、高速レールtoレール・オペアンプの AD8091によりフィルタ処理、バッファ処理、スケール処理を行います。別のAD8091で応答信号をバッファ処理し、12ビット1Msps逐次比較型ADCのAD7476Aの入力レンジに対応するように信号のスケールを調整します。

図2. 単純なインピーダンス・アナライザ

図2. 単純なインピーダンス・アナライザ

この単純なシグナル・チェーンにも、課題がいくつか潜んでいます。まず、ADCは位相情報を維持するために周波数全体にわたり励起波形と応答波形を同期してサンプルする必要があります。この処理を最適化することが性能全体にとって重要なポイントとなります。また、多数のディスクリート部品を使用するため、さまざまな許容誤差、温度ドリフト、ノイズなどによって測定精度が劣化します。特に小信号を処理するときは大きな問題になります。

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12ビット、1Mspsの高集積インピーダンス・コンバータ・ネットワーク・アナライザのAD5933は、DDS波形発生器とSAR ADCを1個のチップに集積していることでこうした問題点を克服できます(図3を参照)。

図3. AD5933の機能ブロック図

図3. AD5933の機能ブロック図

AD5933には、出力レンジにより数百Ωの出力インピーダンスがあります。このインピーダンスは皮膚インピーダンスの測定の障害になるため、 AD8531オペアンプで信号をバッファし、皮膚と直列のインピーダンスを低減します(図4を参照)。AD5933の受信側は内部的にVDD/2にバイアスされるため、この同じ電圧を外部アンプの非反転端子に印加して飽和しないようにする必要があります。

図4. AD5933を使用した皮膚インピーダンスの解析

図4. AD5933を使用した皮膚インピーダンスの解析



 

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